見えないリスク?ホテル客室に残る“オゾン”の真実
出張や旅行でホテルに泊まったとき、「なんだかツンとしたにおいがする」と感じたことはありませんか?
その正体は、オゾンかもしれません。
オゾンは強い酸化力を持ち、ウイルスやにおいの除去に使われるため、多くのホテルや旅館が「消臭・除菌目的」で使用しています。
でも実は、そのオゾンの使い方次第では健康リスクがあることをご存じでしょうか?
そもそもオゾンって危ないの?
オゾン(O₃)は自然界にも存在する気体で、においの元や細菌を分解してくれる働きがあります。
一方で、濃度が高いと人体に有害です。
たとえば厚生労働省やWHOでは、「0.1ppmを超える濃度に長時間さらされると健康に悪影響がある」とされています。
具体的には、のどの痛み・咳・目の刺激・頭痛など。
それなのに、ホテルでは数ppmもの高濃度オゾンを無人とはいえ部屋に噴霧して消臭作業を行っています。
安全な濃度に下がるまで、何時間もかかる?
実はオゾンは「においが消えた」からといってすぐ無害になるわけではありません。
オゾンは時間とともに自然に分解されますが、完全に安全なレベル(0.1ppm未満)になるには数時間かかります。
たとえば、部屋の換気がユニットバスの換気扇しかない場合、
- 約10ppmで噴霧されたオゾンが0.1ppm以下に下がるまで:約1.8〜3.4時間
- さらに安心な0.0032ppmまで下がるまで:約5.8時間
つまり、オゾン消臭後すぐに入室した場合、まだ有害な濃度が残っている可能性があるのです。
2025年10月からは規制対象に
この問題に対し、ようやく法規制も動き始めています。
2025年10月から、オゾンは労働安全衛生法に基づく化学物質管理の対象になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001250600.pdf
ホテルなどの事業者は…
- 化学物質管理者の選任
- 防毒マスクなどの保護具管理
- オゾン濃度の測定と記録管理
- 安全教育・換気設備の整備
…などが義務になります。
ただし、これは労働者保護が主目的。宿泊客がオゾンにさらされるリスクは依然として残るのです。
宿泊者ができる自衛策は?
- 「オゾン消臭済」と書かれている部屋はすぐに入室せず、数分間は換気を
- ツンとしたにおい・刺激を感じたら、すぐに部屋を出る
- 気になる場合は、ホテルに確認を求める
まとめ
オゾンはたしかに便利な除菌・消臭手段ですが、適切に使わないと“見えない危険”になります。
ホテルのオゾン消臭に対して、「安全に対する意識と対応」が本当にあるのか?
私たち利用者自身も、疑問を持ち、行動することが大切です。
※この記事は、オゾンのリスクに関する公開情報や厚労省の資料をもとに作成しています。